各町で深刻化するゴミ屋敷をめぐるトラブル

最終更新日 2024年3月21日 by citations

深刻化の一途をたどっているゴミ屋敷問題

ゴミ屋敷が各地で問題視されています。
一時はテレビのワイドショーでも頻繁に取り上げられました。

最近は有名なお昼のワイドショーで報道される頻度は減って来ており、一見すると問題自体が沈静化したように思われています。
しかし報道されていないだけで、むしろゴミ屋敷の問題は深刻化の一途をたどっているのが実情です。

ひと昔前は数が少なく、文字通りマスコミが騒いでいる地域だけの問題でした。
ところが昨今では数え切れない程、各地にそういったトラブルが起きていると福岡のアークサービスさんは言っています。

ちなみに、アークサービスさんは福岡を中心に、ゴミ屋敷の片付けや不用品回収を行っている業者さんです。

近隣住民とのトラブルにも発展しており、地元にそういった家が一軒でもありますと、平穏なライフスタイルが脅かされます。
住民トラブルの中でも特に深刻な問題であり、子どもの声や楽器の演奏音がうるさい等の隣人トラブルに匹敵するリスク要因です。

日本の国はれっきとした法治国家です。個人の感情や時の権力者の意向だけで社会が左右されてはおらず、憲法や民法が明記されたルールが正しく運用されています。
そのため個人の経済力や社会的地位に関わらず、日本に暮らす市民は法の下の平等が保障されています。特に個人の財産に関するルールは厳格です。

本来は国や企業などが不当に家電や家具、土地などを押収する事はできない

世界にはまだまだ個人の財産権が正しく認められていない地域があります。
日本の国では自分で働いて貯めたお金やお給料で購入した家電や家具、そして親から相続した家や土地などは、厳格に権利の保障が約束されており、国や企業などが不当にそれを押収する事は出来ません。

これは大変画期的な事であり、歴史を紐解けば戦時中の日本は財産権か約束されておらず、市民が権利が著しく侵害された過去が存在します。

一方で財産権の厳格な保障にも、ほんの僅かな弊害があると指摘されており、明らかに近隣住民の平穏な暮らしを脅かしているゴミ屋敷について、基本的に行政機関は強力な形で介入する事が出来ません。

客観的に見て、明確にゴミだと分かるレベルの物が山積していても、法律的にそれは持ち主の財産となります。
壊れた家電やボロボロになった衣類、原形を留めておらず元が何だったか分からない位に破損した雑貨やビニール袋に詰め込まれた生ごみに見える物なども、基本的に個人の敷地に置かれている限り、それは個人の所有物となり、地元の人々が明らかに迷惑をしていても、無断で捨てる事は出来ません。

明らかに悪質で再三にわたり地元住民や行政の担当者が、ゴミ屋敷の住民に対して注意や指導をしたにも関わらず、一向に改善の余地がみられない、そのような場合において、行政が強制的に山積したゴミを撤去する事例があります。

場合によっては弁護士事務所に相談してみるのもオススメ

ただし現実問題として見ると大変稀な事案です。
日本の自治体は、戦前の時代の反省から行政が権力を行使する事を極力しない姿勢をとっています。

個人の敷地から大量のゴミが道路にはみ出したり、通行妨害になる位に危険な物が山積していたり、産業廃棄物や危険物と見られる物を悪質な形で保管している事例などは、行政が対応してくれますが、それ以外のケースについては民事不介入となっているのが実情です。

もちろん自治体の窓口に相談してみる価値はあります。
場合によっては弁護士事務所に相談してみるのもオススメです。

行政自体が介入出来ない隣人トラブルについて、弁護士は持ち前の法律スキルを駆使して、合法的に立ち退きを要求したり、ごみの撤去を要求する事が可能です。

ただ一人の意見では法律家も動きにくい点があり、ゴミ屋敷の迷惑を受けている人々がご近所で団結して、事務所に相談に訪れる、といったアクションが効果的でしょう。

そもそもなぜゴミ屋敷が生まれるのか?

ゴミ屋敷が生まれる原因ですが、色々な要因があります。
元々収集癖が非常に強い住民の方々が趣味の物や仕事の道具を敷地に集めており、その性格がエスカレートして大量の物が敷地に山積みになっていく、というケースが存在します。

家主の人々からすると、大事な趣味の物やコレクションなのですか、近隣住民からすると危険な物や火災の原因になり得る物が山積している事もあり不安が払しょくできません。
話し合いをしても、家主は「これは財産だ」と言い張るため、地元住民との協議は平行線をたどる事が多いです。

また収集癖ではなく、高齢の方が一人暮らしをしていて掃除や不用品の処分が出来ず、結果的に要らない家具や生ごみや粗大ゴミが敷地に山積していき、それが道路や隣接するお宅まではみ出すといった事案があります。

迷惑な結果は変わりませんが、健康上の問題でゴミ捨てが出来なかったり、家族に先立たれた悲しみから物を捨てられない精神状態になっている等、客観的に見ればいわゆるモンスター的な人ではない方が、ゴミを溜め込んでおり、この場合は強制的な介入よりも、精神的な支援や物理的なサポートが不可欠です。

ワイドショー等では面白おかしく報道されていますが、背景には深刻な事情を抱えている人々も珍しくはありません。
自治体や法律家の力を借りるべきパターンと、地元住民が支援すべきパターンがあり、その正しい区別が大事です。