任意売却についてのマメ知識
最終更新日 2024年5月3日 by citations
任意売却とはどのような内容なのでしょうか。
個人が住宅を購入する際に、銀行などで住宅ローンを借りるのが一般的です。
順調に返済できているうちは何も問題がないのですが、何らかの事情で返済ができなくなってしまうこともあります。
その場合に銀行など債権者は、住宅ローンの担保である住宅を裁判所を通じて売却し、返済に充てることをします。
これが競売といわれるものです。
競売での売却価格は市場での実勢価格を大きく下回りますので、住宅ローンを払えなくなった債務者にとっては住宅を手放すものの借金がまだ残る場合があります。
なので、債務者は少しでも高い値段で住宅を売りたいと考えますので、債権者の了解のもと、自ら売却先を見つけて手放すようにします。
これが任意売却(任売)です。
任売はどのような手続きで進められるのでしょうか。
住宅ローンの支払いが滞るようになって3ヶ月から半年くらいすれば、銀行から「期限の利益の喪失」なので「一括返済」してくださいとの連絡が来ます。
一括返済できるくらいなら何も返済が滞ったりしないのですから、そもそも無理な要求といえます。
そしてこの段取り後に競売に進みます。
一括返済の連絡が来るタイミングから約5〜6ヶ月程度の期間で任売のための動きをすることになります。
最初は任売を専門にしている会社を探しそこに相談を持ちかけることからです。
ネット検索すれば幾つも出てきます。
メールや電話または訪問して納得できる会社を選びたいところです。
この会社のアドバイスを受け、銀行との調整や購入者探し、そして売買契約となります。
最も高いハードルは銀行との調整です。
債権者である銀行が任売に同意してくれなければことは進みません。
誠意を持って慎重に対応しなければなりません。
次に肝心の売却価格をより高くするために必要なことは何でしょうか。
任売もごく一般的な売却と何も変わりはありません。
なので、買い手を見つけられるかどうかにかかっていますので、この点は任売専門会社を選ぶ際のポイントの一つです。
任売物件であることは伝わりますから足元を見てくることは間違いありません。
物件に対して少しでも良い印象を持ってもらうよう、清掃や片付けなどできることは何でもやることは大切なことです。
その上で、可能であれば買い手の候補者を複数見つけ、競合している状態を作りたいところです。
任意売却の注意点には何があるのでしょうか。
任売には当然に費用がかかります。
任売の専門会社へ支払う仲介手数料です。
これは事前に用意するものではなく、売却価格から相殺されるものです。
売買価格の3%プラス6万円と消費税です。
お金以外にも債務者の手間は大きいと言わざるをえません。
競売なら債権者である銀行側が全てをおこないますので、債務者は何もすることはありません。
任売は、専門会社の選定、銀行との交渉、売買交渉と不慣れで面倒なことが3つも控えています。
いくら高く売却したいという希望が満たされるといっても、価格差がわずかであったりすれば骨折り損の何とかとなってしまいかねません。
では、任売のメリットを再確認しましょう。
第1には、やはり競売に比べて高く売却できるので、それだけ多くの金額を返済にまわすことができます。
第2には、ご近所に住宅ローンの返済が滞っていることを隠せます。
競売だと、裁判所の担当官が自宅に来て家財道具などに差し押さえの処置をしていきます。
他にも競売情報は公開されますので多くの人の目に触れることになります。
また不動産業者が近隣に聞込みをする場合もあるでしょう。
このようなことからご近所に知られてしまいがちです。
ですが任売にはそれがありません。
第3には、売却先の理解が得られることが前提ですが、自宅を改めて賃借りをして、そのまま継続して住むことも可能となる場合があります。
最後に、任意売却後に借金が残った場合の対処についてまとめてみましょう。
これまで見てきたように、メリットは確かにありますがデメリットも確実に存在する任売です。
頑張って売却できたとしても、完済しきれない住宅ローンが残ってしまう可能性があります。
これを残債と言います。
残債は当然に返済する義務がありますので、友人や親戚などから借りるなどしてかき集めることになるかもしれません。
ですがその前に、銀行などの債権者に対し住宅ローン残高の値引きとも言える債権減額の交渉をおこなうことが肝要です。
債権者にしても多額の回収不能が発生するよりは、少しでも多くの返済を受けられることがより望ましい状態です。
なので、減額を検討考慮してくれる可能性は少なからずあります。
さらに減額後の残高を一括ではなく分割払いをお願いしてみることも大切になります。
「払えません」とか「払いません」と言うのではなく、「月に○○円なら支払えます」と誠実に交渉したいところです。
任売の結果として残債があり、減額や分割払いの交渉にもかかわらず債権者が応じてくれない場合の最終手段として、自己破産や個人再生という方法もあります。
この段階になれば、任売の専門会社だけではなく、信頼のおける法律家特に弁護士に依頼することになります。