アトックスによる解説。原子力発電所と日本に存在する原子炉

最終更新日 2024年5月3日 by citations

1.原子力発電所と日本の原子炉について

電気を使用するためには電気の発電を行う必要がありますが、様々な方法が存在します。

発電を行う際、二酸化炭素を排出させることなく大量の電力を発生させる方法として、原子力発電所で電力を発生させる方法があります。

原子力発電所に関しては、1954年6月にソビエト連邦で世界で初めて運転を開始され、アメリカやイギリス、カナダやノルウェー等で原子炉が作られました。

原子力発電所については、火力発電のボイラーを原子炉に置き換えたものと考えて間違いありません。

火力発電の場合は、化石燃料を燃やして熱エネルギーを発生させて水を沸かします。

水を沸かした際に生じる蒸気でタービンを回転させると電気を発生させることができます。

電気を発生させる際原子力発電所の場合は、ウランをウランを燃やすための装置である原子炉で核分裂させることになります。

原子炉で核分裂させた際に生じる熱エネルギーで水を沸かし、蒸気の力でタービンを回転させ、電気を発生させると考えて間違いありません。

原子炉に関しては世界中に多くの黒鉛炉や重水炉、高速増殖炉等の原子炉が存在しますが、日本では軽水炉を主に使用しています。

軽水炉は、沸騰水型軽水炉と加圧水型軽水炉と分けることができますが、アトックス曰く日本では両方の軽水炉が設置されました。

参考>>アトックスの復興支援のまとめ

 

2.日本で主に使用している沸騰水型軽水炉

沸騰水型軽水炉は、原子炉の圧力を70気圧程度に上げ、蒸気発生器で280度の蒸気を作り、直接タービンに送り発電機を回すことになり、直接水蒸気を作るため沸騰水型と言われています。

蒸気は放射性物質が含まれた水からつくられているため、タービン等も放射線に対する管理が必要です。

タービンを回す仕組みに関して加圧水型軽水炉の場合は、蒸気を原子炉で作らず高い温度の水を外の熱交換器で別な水に熱だけ移し、水が沸騰してタ-ビンを回すことになりますが、原子炉全体に圧力がかかるようになっているため加圧水型と言われます。

水は、放射能で汚染された高い温度の水の熱を別な水に移すだけということで、タービンを回す蒸気は汚染されていません。

放射能で汚染された水等が配管から漏れる等、異常事態が起きる可能性もありますが、非常用炉心冷却装置等が設置されています。

非常用炉心冷却装置に関しては、原子炉に大量の水を送り込み水位を保つことができ、燃料棒に水をかけて冷やしたり、燃料棒が壊れることを防止することができます。

防止に関しては自動監視装置等も設置されており、異常が発見された場合は、制御棒を挿入し原子炉を自動的にストップさせる等、自働的に原子炉を停止することも可能です。

防止対策が行われていても、老朽化によりトラブルがおきるのではないかと不安を感じる場合もありますが、高経年化対策が行われていると考えて間違いありません。

高経年化対策は、運転開始から30年を経過した原子力発電所が対象となり、設備や機器を最新の技術が導入されたタイプに取り替えることになります。

発電所では高い圧力や温度が生じている場所が存在し、環境により配管にひび割れがおきたり、絶縁体が痛む等品質や性能が悪くなります。

 

3.原子力発電が行われるスタートとなった1954年

品質や性能をチェックし取替えを行い、安全を維持できるように日々対策が行われています。

チェックについては、高経年化対策を行う上で気をつけるようチェックした結果を10年経過する度にまとめられています。

チェックを行い安全管理を行うため、日本では原子力規制委員会が発足されていますが、日本で原子力発電が行われるスタートとなったのは、1954年12月3月に国会に原子力研究開発予算が提出されたことと考えて間違いありません。

国会に予算が提出され、1955年12月19日には原子力基本法が成立しました。

原子力基本法が成立した後は、1957年11月1日に電気事業連合会加盟の9電力会社、電源開発の出資により日本原子力発電株式会社が設立されています。

原子力発電株式会社によって日本に初めて設立された原子力発電所は、東海村に建設された東海発電所と考えて間違いありません。

東海発電所の原子炉に関しては、イギリスで世界最初に実用された黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉でしたが、後に設置された原子炉発電炉は沸騰水型軽水炉となります。

現在運用中の発電所は37基となり、沸騰水型軽水炉が設置されているのは東北電力株式会社の東通や女川、中部電力株式会社浜岡や北陸電力株式会社志賀等となります。

沸騰水型軽水炉には改良型沸騰水型軽水炉も存在し、東京電力株式会社柏崎刈羽や北陸電力株式会社志賀、中国電力株式会社島根に設置されました。

沸騰水型軽水炉以外に加圧水型軽水炉も存在しますが、北海道電力株式会社の全原子炉や関西電力株式会社の全原子炉、九州電力株式会社の全原子炉や四国電力株式会社の全原子炉が存在します。

原子炉については、高速中性子による核分裂連鎖反応を用いた増殖炉として高速増殖炉も存在し、実験炉として常陽が存在します。